新築未入居マンションという選択 [マンションの値引き販売]

ブログテーマ:マンション業界出身者が業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています。

完成してから5年も6年も経て未だに売れ残っているマンション、今も少なからずあることをご存知でしょうか?

地方都市や超郊外の物件の話ではありません。23区内にある少しも悪くない物件のことです。中には、最寄り駅から徒歩1分といった利便性において文句のつけようのない物件さえあります。

筆者の知る限り、最も長い例は築9年を経過した物件で、今も10戸以上の在庫を抱えています。このペースなら築10年で分譲中という稀有な新古マンションとなることでしょう。

売れ残っている原因は、ほぼ例外なく価格にあります。売主で多いのはS社とG社です。この2社は価格が高いと分かっていながら値引きを一切せずに販売活動を持続しています。

買い手は売れ残っている物件なら値引きしてくれるだろうと期待しますが、頑強に拒み続けるのです。

筆者も関わった江東区のある物件で経験したのですが、現場の営業マンは値引きしてでも早く完売して新しい物件を担当したいと本音を語っていました。しかし、上司は一切耳を貸さないのだそうで、結局のところ値引き交渉は埒(らち)が開かなかったのです。

その物件は、完成後4年を経過していましたが、そのときから2年後にようやく完売に至った有名マンションでした。

当該デベロッパーのポリシーはよく分かりませんが、とにかく5年も6年も流れに任せるのです。財政的にもバランスシート上も、大した問題ではないのでしょうが、不思議でなりません。

ところが、最近「時価販売」が会社の方針だとかで、8000万円から6000万円に2000万円もの値引きを実施しているG社の物件に遭遇しました。

首都圏のマンション価格は、3年前から平均で20%以上も上がったので、割高だった売れ残り物件も相場に近づいたはずでした。ところが、調べてみると、25%・2000万円も値引きしたに関わらず、まだ現状の相場に並ぶレベルではありませんでした。いかに当初の価格が高かったかが分かるというものです。

新古物件で、かつ●年を経た物件、買い手から見れば心理的にも価値の下落感があるので、現相場に並んでも「高い」となるケースもあります。その一方で、例えば8000万円が6000万円になると聞くと、お買い得と感じる買い手もあるのでしょう。

販売状況はいくぶん好転し、在庫は少しずつ減って行きます。


●売れ残った新築マンションの最後は値引き処分が常識

築5年、6年を経ても強気を通し営業を続ける売主は稀有な存在です。殆どのデベロッパー(売主)は、全体的なビジネス効率を考えて、長期間の在庫を嫌います。

細かなことでデメリットを挙げると、未販売住戸の管理費を負担しなければなりません。在庫品の維持管理に手間と費用も掛かるものです。売れても、壁クロスがめくれてしまったり、ドアの建て付けが狂っていたりするので、補修費用も必要です。

無論、広告費とモデルルーム経費、営業マンの人件費が大きな出費となります。

一番の問題は、物件のイメージダウンかもしれません。いつまでも売れないマンションを買ってしまったことに落胆している入居者の心理と不信感も見えない損害です。

こうした点を計算すると、長期にわたって売れ残ることに益はないのです。

別のデベロッパーの役員から聞いた話です。仮にX社とします。

「当社は、売れないようなマンションを建てたことによる社内外のマイナスイメージを恐れます。X社たるものが売れないようなマンションを造ったと思わせてはならない。だから、値引きしてでも早期完売を目指せ」と、売れ残った現場に檄を飛ばすとのこと。


●売れ残りの要因

X社に限らず、必要なら予算を超過しても広告を増やし、必要なら家具や諸費用をサービスし、必要なら本体値引きも辞さず、建物完成から半年か長くて1年以内に完売させるのが業界共通の考え方です。

ところで、売れ残りの原因はどのようなところにあるのでしょうか?

売れない原因の中で一番多いのは「立地条件」の悪さです。 駅から遠いか、駅には遠くないものの環境が悪い、坂道がきついなどの物件が最も販売に苦労しています。

他には、間取りが悪いとか、設備・内装が安っぽい、売主が無名、施工会社が心配、天井が低い、梁が目立つ等々、挙げればキリなく出て来ます。百点満点のマンションはないと知りながら、買い手は可能な限り理想像を求めるものです。

最後は、予算を睨みつつ妥協して購入することになるものですが、高額マンションになると予算に余裕を持っている人が多いので、価格だけでは動きません。

高額なマンションは、大体が好立地にあり、建物も大規模で超高層で、共用部分が豪華にできており、加えてコンシェルジュが入居者をに対して「うやうやしく」接するといった付加価値があるものです。

このような、購買層を満足させ得るの品質を誇る物件が売れ残るとしたら、多くの場合、販売戸数が多いことに起因します。しかし、全体的には優良な物件であっても一部の住戸に限って良くない間取りであったり、そこだけが眺望を阻害するものがあったりすると、最後まで売れ残るということもあるのです。


●残り物に福はあるか?

書き出しが築5年も6年もの長い期間、売れ残った物件の存在についてでしたので、誤解を招きそうですが、今日の記事は建物が完成していて販売中の物件(完成売れ残り)について語ろうとしています。

「完成売れ残り」の中に、隠れた逸品がないこともないと述べるつもりでした。

先に述べたように、高級マンションでも条件の良くない住戸ができてしまうのがマンションです。 

なにしろ土地が高いので、容積(建設可能な平面積)を100%使い切ることがデベロッパーにとって不可欠な設計指針として設計者・企画担当者に立ちはだかります。

結果的に、変形間取りや凸凹の天井、暗い部屋、狭いバルコニー、プライバシーが侵害されてしまいそうな住戸位置、その他の好ましくない住戸が誕生してしまいます。

プロの設計士やデベロッパーの経験豊富な企画担当者が懸命に知恵を絞ったにも関わらず、できてしまった「感心しない商品」が送り出されてしまう。これが現実です。

売主は当該住戸の価値の低さを知っています。そこで最後は価格の安さで勝負に出ます。

条件の良い住戸との差を大きくし、割安感をアピールしようとするのです。ところが、その価値判断を誤るためか、買い手は反応しません。 何割かは、その価格戦略が奏功して売れますが、売りきれずに何戸か何十戸かが残ってしまうというわけです。

売れ残り住戸には、やはり福はないのでしょうか?

そうとも言いきれません。

条件が悪いから安いのですが、売主は「もっと下げておけばよかった」と悔やみます。

価格が安くても高級・高額マンションの購買層は動かないと書きましたが、もう二段も三段も下げると別の購買層が表れるからです。

例えば、高級マンションが建つにふさわしい都心のアドレスではあるが残ってしまうケースがあります。例えば、北向きで眺望も良くない住戸、裏のマンションから覗かれる住戸。

そんな家は、いくら安くても欲しくないという購買層が集まるからでしょう。案の定、売れ残ってしまったのです。

そんな住戸でも、安くすれば、「寝るだけのセカンドハウスだからとか、個人事務所として使いたいので気にしない。ただ予算に限界があるので、この価格なら文句ない」と語るような買い手が表れます。

このようなニーズの人にとっては、残り物から福を見つけたことになるのでしょう。


今まさにマンションを買おうと探している人が、このようなニーズでないとしても、安く買っておけば、売却の際には安く手放す余裕があることになり、上述のような需要層をキャッチできるかもしれません。

ごく一般的なファミリーマンションを探している人が、ときどき次のようなメールを下さいます。

「設備のグレードも高く、間取りも角部屋で、階も8階なので、とても気に入りました。ただ、価格が高い気がするのです。適正価格を教えて下さい。交渉の材料にしたいので」と。

全体の価格が高い物件でよく取られる価格戦略の結果、異常に高くなった角部屋の売れ残り事例です。

常識的なバランスで値付けすると、数の多い中部屋の価格に魅力がなくなり、大量に売れ残る危険が高い。そこで、中部屋の価格を可能な限り安くし、そこで減った売り上げ・利益を角住戸にONして売ろうとしたケースです。

ところが、ONする先の角部屋の数は中部屋の数に比べて少ないので、結果的に「角部屋で条件は確かに良いが高過ぎる」という住戸が誕生し、市場の厳しい評価を受けたというわけです。

条件が良く、問題のない角部屋でしたが、高過ぎて中々売れないので、仕方なく竣工後は値引きやむなしという販売方針となったようです。

このような例は多くはありませんが偶に見られます。


●価格交渉を頑張りましょう

関西人や名古屋の人は価格交渉が上手と聞きます。「おまけして。勉強して。なんぼにしてくれる?」の類の言葉が平然と口から飛び出すシーンを筆者も何度か目撃したことがあります。店側もいつものことと予想しているのか、少しも慌てず返す言葉も上手。そんな印象を受けたものです。

これに対して、関東の人は値引き交渉が下手とされます。 というより、値引きを要求する習慣がないのです。 

しかし、売れ残りマンションに遭遇し、物件としてのネックはあるが妥協の範囲にあるとした場合、最後はできるだけ安く買う交渉は非常に重要です。思い切った値引きを要求し、それを勝ち取ることです。

独りごとでも言うように「〇〇〇万円くらいは安くなるかしら」などとつぶやいてみましょう。

担当営業マンは「〇〇〇万円ですか、それは無理です」とか「当社は、値引きはしない方針です」などと拒絶するかもしれませんが、「〇〇〇万円ならどうですか」などと勇気を出して声にしてみることです。

値引き額の根拠など、全く不要です。根拠を示すと、売主に反論のきっかけを与えるだけだからです。

売れ残りなのだから、そのくらいは当然でしょという感じで、しかも業界の常識とか、値引きの限界とか、そのようなものは何も知らない顔をして、あっけらかんと言うのがコツです。

言いにくければ、「私たちにとっては大きな買い物なので、少しでも安くしてほしいのです」とか、「いくらくらい勉強してくださるの?」と言うのも悪くないでしょう。

 値引きやむなしという状態にあれば、売主はあらかじめ値引きの枠を現場に与えている場合もあります。そうでない場合も、過去の値引き決裁事例から「いくらくらいならOK」を現場の営業マンは知っています。

その範囲を超えるくらいの大きな要求であれば、「とても無理です」とか「売れ残りではない。売り出し時期が遅かったからだ」などと抵抗するに違いありませんが、そこで引き下がっては交渉になりません。

「出してみないと分かりませんが、お客様のご要望の〇〇万円は無理ですが、〇〇万円くらいならOKが出るかもしれません」という答えを引き出すまで先ずは頑張ることです。

その先は展開次第ですが、「もうひと声なんとかなりませんか?」などと粘ることが成功の必須条件です。







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