「もう一人子供ができたときに備えて3LDKを」は正しいか? [マンションの資産価値]

ブログテーマ:業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています。

「現在3歳の子供含めて3人家族ですが、もう一人子供が欲しいので、そのときのために3LDKを買っておきたい」と、自身の計画性を得意げに語る人がいます。しかし、これが間違いである場合があるのです。
今日は、間数・広さの選択について考えてみることにします。

●その昔、一次取得者は2DKを買った
分譲マンションが飛ぶように売れた時代が過去何度もありました。いわゆるマンションブームです。
日本に分譲マンションが初めて登場したのは、昭和41年頃と言われています。まだ、60年になっていないのです。
それはともかく、家と言えば一戸建てと相場が決まっていた時代の分譲マンションを買う人は富裕層に限られました。外国居住の経験者や学者、経営者などが中心だったのです。その後、地価の急騰で通勤に便利な場所で家が買えなくなった人たちをマンションが救います。マンション大衆化時代の到来です。

それでも、マンションなんて土地はあってなきがごとしで空中を買うようなものだから価値がないなどと批判する人も多かった時代が長く続きました。

しかし、数度のブームと停滞を繰り返しながら、分譲マンションは市民権を得て来ました。東京では、「家と言ったらマンション」になったと言えるでしょう。

前後しますが、マンションを購入する人たちは、当初2DKとか3DKを選択しました。LDKという発想が作り手にもなかった時代でしたが、それで買い手は満足できる時代でもあったのです。何しろ、6畳一間に親子5人が寝ていた時代でしたから。

後に誰かが命名した「住宅すごろく」のスタートです。2DKや3DKから必要なライフステージで3DKか4DKのマンションへ、何年かしたらマンションを売却して庭付き一戸建てへ住み替えるという構想を多くの人々が描き、そして実行しました。

地価の高騰は、マンション価格の上昇も招きました。自宅マンションが高値で売れたのです。それが頭金の増額となり、郊外の一戸建て購入を可能ならしめたのでした。

●かつて新婚さんでも3LDKを望んだ時代があった
時代が移り、住宅水準が向上すると、望むマンションの広さも変わります。「リビングで家族でくつろぐ」姿がマイホームの定番になり、3LDKが主流になりました。

バブル経済勃興前の1980年代初頭は、団塊世代がこぞってマンション購入に動いたものですが、その頃の3LDKはせいぜい60㎡くらいでしたが、狭いながらもダイニングテーブルと応接3点セットが置けるリビング・ダイニングルームがありました。

その頃、高度成長は終わっていたものの、所得は伸び貯蓄が増えていた時代ですし、土地神話が信奉されていました。マンション価格の上昇過程では駆け込み購入が発生、一大マンションブームが起こりました。

かく言う私もこの頃に初めてマンションを買ったのですが、ある事情で7か月後に売却。700万円も高値になりました。当時を思い出すと、住宅ローンは国の金融公庫融資を一部利用したのですが、金利は5.5%と今では信じられない高さでした。それでも銀行ローンが7~8%の高金利でしたから、公庫の金利は大助かりでした。

それから1990年代初期のバブル崩壊。マンション価格の下落期を経て21世紀に入ると、環境が大きく変わりました。

景気停滞とデフレが長く続き、極端な金利の低下をもたらしたのです。また、景気の底上げを狙った政策が「公庫融資の拡充」を一段と進めました。頭金がなくても購入することが可能になって、若い世代の購入を支援したのです。

その結果、20代の新婚カップルでも新築マンションが購入できることとなり、需要の裾野を拡大したのです。

その後も、住宅資金贈与の特例という政策発動で、親・祖父母からの支援を得て購入するニューファミリーを増やすこととなったのです。こうなると、若い夫婦二人世帯が当初から3LDKを取得することも容易になります。

こうして、供給の主流から2DKが消え、2LDKも減って、ますます3LDKに移行して行ったのです。

●今、再び2LDKからの出発組と二極化しつつある
2010年代に入り、最近の傾向には再び変化が見られます。それまでの主流3LDKではなく、2LDKを選択する若いカップルが目立ってきたのです。

相変わらずファミリーは3LDKを望むのですが、若い世帯の中で当座は2LDKでよしとする層が増えていると感じるのです。正確な統計数字がないので私の印象でしか語れないのが残念ですが、ほぼ確信に近いものがあります。

2008年のリーマンショックから市場は激変し、郊外マンションの新規供給が止まったことが理由として挙げられそうです。(統計データは割愛します)

郊外マンションの少なさが都心部のマンションに目を向けさせ、結果として面積の妥協を強いられているのかもしれません。

2011年の大地震で一時は急ブレーキをかけられたマンション業界ですが、その後は回復傾向にあり、供給戸数も増加傾向にあります。それでも以前の水準には遠く及ばない現況にあります。

都心のマンションは高く、購入できる階層は限られます。長い間デフレ脱却ができないでいる現在、アベノミクス効果で上向きの様相を見せているとはいえ、恩恵を受けているのは一部の階層に限られます。高額消費やマンション購入に動ける勤労者はまだ多くありません。

それが慎重な購買行動になって表われています。すなわち都心で購入する場合でも、無理な買い物をしないのです。金利の低下は相対的に購買力を押し上げているのは確かですが、余裕を持った購買行動になっていると思うのです。

しかしながら、一般世帯は3LDKを望み、ゆえに都心でも比較的廉価な物件(江東区や北区など)に顧客が殺到する状況を生み出しているのです。

2LDK希望者の中には、妥協の結果でなく、本来の希望という階層も多く見られるようになっています。それは、子供を持たない夫婦の増加という背景を感じます。

結婚年齢の高齢化は、出産を諦めさせるのでしょうか?それとも、キャリアを捨てたくない女性を増やしているのでしょうか?
事情はともあれ、2LDKでいいという層と、やはり3LDKでなければという層とに分かれる、いわば二極化が起こっている、そんなふうに感じる昨今です。

●3LDKにこだわらない選択がお勧め
前置きの方が長くなってしまったのですが、本題は「2LDKのススメ」でした。

夫婦と子供1人という家族がマンションを買うとき、必ず念頭に置くのが「もう一人できたら狭くなるので」そのときのために最初から3LDKを買っておきたいという計画です。

それ自体は結構なことですが、そこに執着すればするほど間違った選択をしてしまう危険があるということをお話ししましょう。

広さ(3LDK)にこだわると、どのようなことが起きるでしょうか?

①都心・準都心では買えないので郊外の物件へ向かう(最近は郊外物件の供給も増えつつある)
②都心や準都心でも、値がりが期待できるエリアは既に高いので安いエリアに向かう
③最近注目されているエリアなら値上がりも期待できるだろうと、当該エリアの駅から10分を超えるような物件を選択する
④準都心の人気エリアなら間違いないだろうと、最寄り駅からバス便の物件を選択する

おおよそ、このような行動をとることになるでしょうか? もちろん予算が十分に確保できる人は該当しないわけですが、先行きがまだ不透明な現状では背伸びしたくないと考えている人も多いはずで、この話は読者にとっても他人事ではないと思うのですが、いかがでしょうか?

上記の①から④は、すべて将来価値を維持しにくい条件なのです。マンションは立地条件がすべてと言ってもよいほどです。価値を左右するのが場所です。

場所が悪いと売れないことをよく知っているマンションメーカーは、その弱点を付加価値で補おうと懸命に知恵を絞ります。
その結果、ある物件は管理費等の維持費を極端に抑え、また別の物件は子育て世代を意識した環境作りや共用施設を設け、育児支援サービスを盛り込みます。バス便マンションでは、最寄り駅間でシャトルバスを自主運営します。買い物に使うレンタカーをセットしたりもします。

しかし、これらは購買意欲を高めるには役立つものの、資産価値向上には少しも効果を発揮してくれません。

●必要なときが来たら買い替えればいい
子供がもう一人できても、子供部屋が必要になるまでは時間がありますね。1歳のときから個室は要らないのですから。

そうであれば、どうしてももう1部屋ほしいと感じるときになってから買い替えたら良いのです。
当座は2LDKでいい、その代わり立地条件の良い物件を選ぶ。これが賢明な購買姿勢なのです。立地にこだわっておけば、買い替えは成功します。

大都市は単身需要が多く、家族持ちでも2人、3人という世帯が多いのです。従って、基本的には売却のとき買い手には困りません。その買い手は、便利さを求める人たちです。また、購買力も高いのです。場所さえ良ければ問題はありません。

良い場所の良いマンションを選ぶことが、資産を増やす成功の秘訣でもあるのです。

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