15階建てマンションは要注意 [マンション設計]

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ブログテーマ:元、大京マンが業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています。

商業地のマンションには14階建てが多い――このことに気付いている人は、どのくらいあるでしょうか? そこにはちゃんとした理由がありますが、例外もあります。
例外とは、普通なら14階になるはずの場所に15階で計画されているマンションですが、今日はこのことについてお話しします。

●14階建てマンションが多い商業地

建築基準法には、建蔽率(けんぺいりつ)と容積率という規定があります。

建蔽率とは、敷地面積に対して建物面積の限度を指します。例えば、60%の制限がある地区では、100坪の土地に建てられる建物の最大面積は60坪となります。この制限は都市計画によって定められた地域、すなわち商業地域や住居地域、工業地域といった地域割りで決まります。
商業地域では80%、住居地域の中では「第1種低層住居専用地域」が40%といった差があります。

容積率とは、建物の延べ床面積が敷地面積の何倍まで建築できるかを示すものです。これも場所ごとに定められています。商業地域では、200、300、400、500、600、700、 800、900、1000、1100、1200、1300%のうち都市計画で定めるとあります。

一番多いのは、400%なので、これを例に説明すると、1000坪の土地には述べ4000坪までの建物が建てられます。商業地域の建ぺい率は80%以内なので、制限一杯の800坪で建てるとしたら、4000÷800は5ですから、高さ(階数)は5階建てが限度となります。建築面積を400坪に抑えると、4000÷400で、10階建てが可能となります。

建築面積を半分の200坪にしたら、高さは20階が可能となるのです。

ところが、高い建物を建てるときは別の制限が加わります。高層マンションは31メートル、45メートル、60メートル、100mを境に、高くなればなるほど、建築基準法や消防法の規制が厳しくなります。

消防法では、はしご車のはしごが届く高さから31メートルという高さの限度が定められているのです。
31メートルを超える建物を建てたいときは、通常のエレベーター以外に消防活動に利用する「非常用エレベーター」の設置が義務付けられます。これは、火災が起きた時に、消防隊員が、消火活動に向かう為のエレベーターとなります。
これはコストアップの要因のひとつとなり、建築主は避けようと考えます。

マンションの1階あたりの高さは、約3メートルですから31mでは10階建てが限界となります。ただし、緩和(免除)規定があって、一定の要件を満たすとプラス4階まで可能となり、結局は14階建てまで可能となります。これが14階建てマンションの多い理由です。

尚、高さ45mを超えると複雑な構造計算が要求され、確認許可のための審査期間が長くかかり、コストも一段と高くなる可能性があります。

●15階にしたい建築主の事情
31メートル制限の場所で、何故か15階建てにしているマンションがあります。先に述べたように、14階が限度のはずでした。これは一体どうした事情によるものでしようか?

14階限度のところを15階にできる緩和要件でもあるのでしょうか?いいえ、それはありません。ということは、1階あたりの高さを低くするほかにありません。それでは、天井の高さが低いマンションができてしまいます。

14階であろうと15階であろうと、延べ床面積の限度(容積率)があるのですから、15階に積み上げても何も変わりはないはずです。販売面積が増えるわけでもありません。

では、15階建てにする理由はどこにあるのでしょうか?

建蔽率と容積率の関係を思い出してください。例えば、1階あたりの床面積を100坪としたら、14階の場合は合計1400坪です。これが容積率の限度です。では、15階に変えるとどうなるでしょうか?1400坪÷15は93なので、1階あたりの床面積は7坪減少しますね。

この7坪が重要な意味を持ちます。7坪の空間ができることによって、緑地面積を殖やすことができたり、車路を確保できたり、あるいは駐車場のレイアウトが効率的になって数台分の増加になるというメリットが生まれたりします。

このように、敷地面積の狭い商業地では貴重な面積になる場合が少なくないのです。

ところが、敷地に比較的余裕のある住宅地の「中高層専用地域」などでも15階マンションを見ることがあります。こちらの場合は別の理由がありそうです。

理由は、主にコストカットです。詳細は割愛しますが、コンクリートの使用総量を減らすことができるからです。

●15階建てにしても天井高が変わらない不思議

各階の高さ(コンクリート面からコンクリート面まで)を階高と言います。理由はともかくとして、全体の高さを同じにして、14階で計画すべきところを15階にしたら、当然ながら階高の低い建物となります。

階高を低くしたら、仕上げ後の天井高も低くなりますね。ところが、モデルルームを覗くとさほど低いとも見えないのです。不思議ですね。

からくりは簡単です。天井も床も、普通は二重構造であるところ、床の仕上げを直貼りにすることで天井の高さを確保しているのです。

直貼りにするということは、普通は床下を這わせている水道やガスの横引き管を別の経路にするということになります。

●15階にしたときの問題点

横引き管を別の経路にするというのは、天井を回して引き込む例が多いのですが、排水の方はそういうわけにはいきません。

洗面台と洗濯機、浴室からの排水は、近くに設けた排水パイプ(竪管=たてかん。パンフレット上にはPSと表示されています)へジョイントするにあたり、一定の勾配をとる必要があるからです。

排水パイプまでの距離が遠ければ遠いほど勾配角度は鋭角でなくなり、床を高く上げなければなりません。その分だけ、天井高が低くなります。

実際には、床を上げるとバリアフリーではなくなるので、水回り部分のみ床を下げます。最上階を除き、上の階の床が下がって来る形になるのです。元々低い階高の建物では、水回りの天井高は極端に低いものになってしまうのです。通常のものより20センチも低い2メートル程度の建物も見られます。


床を直貼りにしたときの問題点は、他にもあります。リフォームをするとき、水回りの移動がまず不可能という点です。
バリアフリーでなくても構わないというなら別ですが、そうも行きません。新たな床下勾配を設けるために二重床構造にしたら、おそろしく天井の低い箇所ができてしまうからです。

もうひとつの問題点は、フローリングがクッションゴム付きになるということです。遮音性を確保するための対策として誕生したフローリング材です。これが、ふあわふわした感じの床をもたらします。

ただ、これは慣れれば問題ないのですが、問題は家具の重量で沈み込みができてしまうことにあります。ある部品を用いて施工することで防ぐことは可能ですが、コストアップにつながります。コスト抑制のために採用された直床工法の狙いからすると、本末転倒になるため、殆んど無視されているのが実態です。

尚、遮音性に関しては、二重床の方が高いと言われますが、絶対的なものではないようです。

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